Illustratorでビジネスフォームを作成する方法(単位はインチで!)
ビジネスフォームとは伝票の左右に送り穴が空いているプリンタ用紙の一種で、「連続伝票」「連続帳票」と呼ばれたりもします。
紙が連続して繋がっていて、ドットインパクトプリンタで出力され、出力後にミシン目で千切って使用されます。
ちなみに、左右に空いている送り穴は、「スプロケットホール」・「マージナルパンチ」などと呼ばれています。
何もない状態で一からビジネスフォームを制作する機会は、システム関連・伝票印刷関連などの専門の仕事をされていなければ、まず無いと思いますが、印刷物の制作をされている方なら、刷取りを支給されて複製する機会があるかもしれません。
その際の制作時の注意点があります。
それは「単位をミリではなく、インチにする」ということです。
では、なぜ単位をインチにする必要があるのでしょうか?
日本はビジネスフォーム黎明期にアメリカから印刷技術を導入したのですが、日本で普及し始めた当初、アメリカの規格のまま広まった為です。
ちなみに1インチは2.54㎝です。
では、Illustratorを使って、ビジネスフォームを複製していきましょう。
今回はサンプルとして弊社の納品書を複製していきます。
まずは下絵の準備です。
データ作成の前に定規で伝票のサイズを測っておきましょう。
横は約24.1cm、縦は約11.4cmでした。
インチに換算すると
横は約9.48…インチ、縦は約4.48…インチとなります(割り切れませんでした)。
小数点第二位を四捨五入すると
横は9.5インチ、縦は4.5インチとなりました。
これがこの伝票のサイズです。
印刷機にセットするシリンダーの仕様上、基本的に縦サイズは0.5インチ刻みになる為、4.4インチや4.6インチになることはありません。
横のサイズは、そのような決まりごとはないです。
サイズが決まったので、Illustratorの新規ドキュメントを作成します。
トンボを追加することを計算に入れ、ドキュメントサイズは伝票のサイズ+0.6インチの横10.1インチ、縦5.1インチにしました。
単位は予めインチに設定しておきます。
この伝票は3枚複写で、3枚目に減感があるので、減感版を作成する為にアートボードの数は「4」にしました。
減感については後述します。
ビジネスフォームの設計の基本は横が10分の1インチ刻み、縦が6分の1インチ刻みです。(8分の1インチ刻みの場合もあります)
ドキュメントの中央に伝票のサイズ(今回は横9.5インチ、縦4.5インチ)の四角形を作り、横が10分の1インチ刻み、縦が6分の1インチ刻みのガイドを伝票のサイズ分作成します。
正しい位置に下絵を配置すると、プリンターで印字する箇所がガイドラインのマス目にフィットするのがわかると思います。
下絵を配置できれば、複製していきます。
まずはトンボを付けます。
トンボの形はビジネスフォーム独自の形状です。
Illustratorの「トリムマークを作成」で付けられるトンボはビジネスフォームでは使いませんのでご注意下さい。
一般的なビジネスフォームのトンボは下記の通りです。
スプロケットホールを開ける際の目印、パンチ穴用の目印も付けておきます。
(トンボや目印の形状等は、印刷会社の指定のものがあるかもしれませんので、制作前にご確認下さい。)
トンボを付ければ、あとは下絵の通りに(ガイドラインのマス目を気にしつつ)複製していくだけです。
1P目が完成すれば、それをコピーして、2P目と3P目も作成しましょう。
複写伝票の場合、金額等を見えなくするために減感が施されているものも多いです。
今回複製してるのは3枚複写の納品書ですが、その場合、
1P目は「納品書(控)」
2P目は「納品書」
3P目は「物品受領書」
となっているケースが殆どだと思います。
そして、1・2P目には単価や金額、合計金額欄が設けられているのですが、3P目はその部分が受領印を押す欄になっていると思います。
そして、その部分にはプリンターで印字されても、文字が写らない様に減感インクが印刷されます。
減感インクは思わぬ箇所に施されているケースもあるので、事前にどこに減感インクが印刷されているかをチェックしておきましょう。
減感インクに反応するスプレーも販売されているのですが、一般の店舗には流通していないようで、簡単には入手し辛いので、手元になければ、ボールペンで伝票全体に線を何本も書いて確認することが出来ます。
3枚複写なら3枚、4枚複写なら4枚重ねた状態で線を書いて下さい。
重ねた状態で線を描き、1枚ずつに剥がしてみると、こんな感じになりました。
これを見ると、2P目には減感されている箇所はなく、3P目の受領印欄の箇所にのみ減感が施されていることがわかりました。
これを参考に減感版を作ります。
こんな感じになりました。
完成した全てのデータです。
詳しく説明をしたつもりですが、わかりにくい点も有ったかもしれません。
当社では、各種伝票の制作も承っておりますので、お困りの際は是非当社に制作をお任せ下さい。
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